小学校英語の必修化や子ども英語教室が増えた影響もあってか、最近では私立だけでなく公立の幼稚園でも英語の時間を設けるところが増えています。
子ども英語は、子どもの習い事人気ランキングでも常に上位に入っており、幼稚園から子ども英語教室に通っている子もたくさんいます。
英語に興味はあるけれど、自分の子どもにとって必要か、続けられるか、もっと手軽に自分たちでできることはないのか、迷っているお父さんやお母さんも多いのではないでしょうか。
幼稚園児の英語学習について見てみましょう。
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目次
3歳から5歳-英語のセンスと基盤を学ぶのに最適な時期
この時期に英語を学ぶメリットは、まさに従来の英語教育では難しかった英語のセンスを身につけることにあるでしょう。
この時期の子どもは、「英語だから覚えなきゃ」とか、「英語を勉強しなきゃ」と力むこともなく、英語も日本語も両方当たり前に受け入れることができます。
「犬は英語でなんて言うの?」といった英語を意識させるような働きかけは、むしろ不要です。
大人が苦手な発音も、たくさん聞かせたり発声させる機会を作れば、これも英語と日本語の違いを区別することなく、自然と習得できる可能性を秘めています。
通常、1歳前の赤ちゃんは、どんな言語の音もそのまま知覚できますが、それ以降は聞かない音は知覚できなくなっていきます。
つまり、お家や身の回りが日本語環境ならば、それ以外の言語を知覚する能力は衰退していきます。
大人になってしまうと、知覚できなくなった言語の音を新たに学び直すのには時間も労力もかかりますが、3歳ならばまだ十分すぎるほど可能性があります。
幼稚園児はどのように学ぶの?3歳から5歳の英語教育の内容は?
英語力を4つの技能のうち、この時期の子どもの英語教育では体や心の発達に合わせて「聞く(listening)」力と「話す(speaking)」力に重点が置かれます。
英語を英語のまま知覚できる英語脳を作るためには、歌やダンス、絵本の読み聞かせなどでたくさん英語の音を聞き、たくさん発話する必要があります。
この時期の子どもは、歌やダンスが大好きです。歌、チャンツを通すことで、自然なスピードの、自然なリズムや音を身につけていきます。
このように、子どもの発達段階に適した方法で聞く力と話す力の基盤作りをしつつ、後に重要となる「読む(reading)」力と「書く(writing)」力につながっていくように、アルファベットに親しんだり、文字と音の関係を学ぶ学習をその年齢や発達に合わせた形で行います。
この時期の子どもにとって、毎日が新しい体験と発見の日々であり、身近な世界にある言葉をぐんぐん吸収し、生活習慣とともに定着させていきます。
それらは幼児の英語学習にとってすばらしい教材となります。“Put on your shoes(くつをはこうね)”, “Brush your teeth(歯をみがこうね)”のように、日々の生活の中で自分でできることと英語の力をいっしょに伸ばしていけるのです。
こうした日常生活の言葉は後からでももちろん学べますが、そのころには子どもの世界も関心も広がり、日常生活の言葉は優先順位が下がり、いつまでも後回しになりがちです。
3歳から5歳、英語教育の課題は?
この時期は、「聞く」、「話す」を中心に、この時期にもできる「読む」、「書く」につながる学習も行います。
学習の方法は基本的には英語を「インプット」が中心となりますが、子どもの発達の度合いに合わせながら「アウトプット」が出てくるように促します。
この時期、英語教室などでは、先生の問いかけに対して学んだ言葉で反応できるようになります。もっと小さい頃は単語で返答していたものが、徐々に2語、3語の文章も出てきます。
教室で使われる頻出表現などはどんどん使えるようになります。文章はまだ短くても、英語センスが磨かれているので、聞いたままの発音で、英語らしいリズミカルな言葉が出てきます。
ただ、自発的にまとまった会話として英語が出てくるようになるには、かなりの英語に浸る時間数の確保が必要です。
例えば英語保育のプレスクールのように一日の大半を英語で送る環境にいれば発話のチャンスも増えますし、また「トイレ」、「のどが渇いた」、「お腹が痛い」などを大人に伝えなければならない必要性にも迫られます。
週に1,2度の幼稚園の英語の時間や子ども英会話教室で英語を使う程度であれば、まとまった会話としての「アウトプット」が出てくるのにはもう少し時間がかかります。
ですから、子どもが発話の実践力をつけるためには、できるだけそのチャンスとなるような英語環境をたくさん作ることが大事です。
まずできることは一番身近な家族が、お家でもたくさん英語で語りかけることでしょう。他にも英語を話せる友人を作ったり、オンラインの英会話を活用してみるのもよいでしょう。
また、英語の「アウトプット」は会話だけではありません。読んだり書いたりすることも「アウトプット」です。
この時期の英語では、まさに体の機能が発達して読んだり書いたりできるようになる数年後にその力が開花するよう、種まきをしているところなのです。
植物が芽を出すには毎日の水やりやケアの習慣が大切なように、英語の成果を出すためにも英語の習慣を続けることが大事です。
まとめ
幼児期に磨かれた英語のセンスや培った基盤は体感覚で残りやすく、語学力を向上のための大切な財産となります。
ただ、せっかく培ったそれらも使わなければすぐに忘れてしまいます。
また、子どもの心や体が成長すると以前着ていた服が小さくなったり似合わなくなったりするように、言葉も3歳なら3歳の、5歳なら5歳の、小学生なら小学生に見合った内容や学び方があります。
けれど、幼児期に培ったセンスや基盤があってこそ次のステージの学びが充実させられ、蒔いておいた種がいろんな形で芽を出し始めるのです。
その成長のイメージを描き、各段階を楽しむことが、継続的に英語力を積み上げるためのコツなのです。