書道と習字の違いって何なのでしょうか?
習字とは、読んで字のごとく、字を習うことを言います。
一方、書道は字を書くことだけではなく、文字を通して自分を表現することを目的としています。
もう少し掘り下げていきます。
目次
習字とは
子供が学校の授業で行うのは、習字です。
また、字を習いたいと考えたときにまず通うのが習字教室です。
習字の目的は、お手本通り、教わった通りに、字をキレイに書くことです。正しい書き順や、字のはね・とめ・かえし、全体のバランスを整えて書くことを学びます。
習字と言うと毛筆を思い浮かべる方も多いと思いますが、えんぴつで書く硬筆やボールペンなどで書くペン字も習字のくくりです。
習字では、字の基本を学べ、文字を書く基礎を身に付けることができます。
パソコンやスマートフォンが日常的に使われるようになった昨今では、若者の文字離れが懸念されています。
ですが、社会にでたり、家族を持ったりすれば、日常生活を送るうえで字を書く機会はたくさん増えてきます。
例えば、アルバイトの応募の際に必要な履歴書、就職する際に必要な履歴書、結婚式に出席する際に書く芳名帳やご祝儀袋、お葬式に出席する際の芳名帳や香典袋、など、自身で書く必要のあるものはたくさん存在します。
その際、習字で会得した美しい文字を活かすことができます。
書道とは
冒頭でも言いましたが、書道とは文字を通して自分を表現するものです。
書道は書とも呼びます。
そして、書道は習字と違って毛筆のみを指します。
毎年、京都清水寺の住職さんが書く、今年の漢字がありますよね。
あれがまさに書道です。
時に、有名な書を見て、なんて書いてあるの?コレって上手なの?なんて思う字もありますが、あれは習字でキチンと基礎を習得した上で書かれた文字です。
ですから、全ての漢字を習っていない子供には、まだ書道は早いということがわかります。
書道は、字を美しく書くことを土台にして、字に自分の個性をいかに表現するかを目的としています。
つまり、書道とは芸術の一種だといえますね。
書道は大人になってから、趣味として始める方が多いです。
子供の習い事でおすすめなのは習字?書道?
子供の習い事として選ぶのであれば習字がおすすめです。
なぜかと言うと、習字は、先ほども紹介した通り、お手本を見ながら先生の指導通りに文字を書くことで、文字の基本を身に付けることができるからです。
文字の基本もわからない子供が、突然芸術性を求められる書道を始めても意味がありませんよね。
書道とは、文字の基礎を学び、スキルを身に付けた上で始めるのがベストです。
ですから、子供のころは習字でしっかりと文字の基礎や、書くことのスキルを身に付け、そのうえでさらに文字で自己表現をしたいと言うのであれば書道に進ませると良いと思います。
習字と書道、筆の違いと選び方
習字と書道、どちらも筆の違いはありません。
ですが、書道の方が、特大筆と呼ばれる穂先がとても太い筆や、超長鋒と呼ばれる穂先がとても長い筆などを使ったりしますので、バラエティには富んでいるかもしれません。
筆の選び方
習字、書道共に、筆を選ぶ際に必要となるポイントがあります。それは「尖・斉・円・健」の4つの要素が揃っていることです。
- 尖とは、字の通り穂先がとがっていること
- 斉とは、穂先全体がまとまっていること
- 円とは、穂先がきれいな円錐型をしていること
- 健とは、穂先に弾力やコシがあること
を意味します。
このポイントは、古来中国から変わらない、良い筆の条件です。
筆の穂先の違い
筆の穂先は、白い筆と茶色い筆があります。
茶色い穂先の筆は羊毛筆と呼ばれ、タヌキや馬、鹿やイタチなどの毛を用いて作られた筆であり、毛が硬く、弾力があることが特徴です。
白い穂先は剛毛筆と呼ばれ、山羊の毛だけを用いて作られた筆であり、毛質は柔らかいため墨の含みも良いことが特徴です。
その他に、兼亳筆と言って、上の2つの毛質を混ぜて作った筆もあります。初心者には、コシがあり弾力性に富んでいる剛毛筆がおすすめです。
つまり、習字は剛毛筆、書道は羊毛筆と分けることができますね。
習字と書道の着眼点の違い
習字は、お手本通りに字を書くことですから、書きあがった文字の判断基準は「上手い」か「下手」となります。
一方、芸術性の高い文字は、「好き」か「嫌い」かが判断基準となります。
なぜなら、「醜もまた美なり」ということがある通り、人によって、好き・嫌いや、美しい・醜い、の基準は全く異なるからです。
習字で得られるメリットとは
最後に、小学生の習い事としておすすめする、習字で得られるメリットを紹介します。
字が上手くなる
まずは字が上手になることが第一に挙げられます。
そして、習字教室では字を正しく書くために、書き順やはね・とめ・かえし・文字のバランスなどのポイントを指導してくれます。
これにより字の基本がわかるようになります。
集中力がつく
普段使いなれない筆を使って文字を書くことに加え、お手本通りにキレイに字を書くのですから、必然的に集中して字を書くことになります。
ですから、習字教室ではほとんどの子供がおしゃべりをせずに黙々と練習に励んでいます。
習字とは、美しい文字を書くために、とめ・はね・かえし・バランスに注意をし、筆の先に神経を集中させる作業ですから、おのずと集中力が養われていきます。
また、習字を続けて行くことで、我慢をすること、努力をすることなどといった能力も培われてきます。
姿勢が良くなる
背中を丸めて、足を崩した姿勢で習字を行って美しい文字が書けるでしょうか。
答えはもちろんNOですよね。
美しい文字を書くときには、正座をし、背筋を真っ直ぐすることが正しい姿勢です。
最初はレッスン中ずっと正座をしていることが難しく感じる子供でも、レッスンを重ねるごとに、正座をして背筋を正す姿勢が苦ではなくなります。
正しい姿勢は、健やかな骨の成長にとってとても重要なことです。
つまり、成長真っただ中の子供にとって、とてもメリットのあることだと言えます。
習字で習得した正しい姿勢は、大人になっても役に立つスキルですので、ありがたいですよね。
このように、習字を習うことで、たくさんのメリットが得られますので、習い事としての習字はとてもおすすめです。